保護者の皆様へ

 

貴重なご意見・ご感想をお寄せいただきありがとうございました。今回の掲載に際しては、匿名性は保たれており公益性のある内容であることからその一部をご紹介することにいたしました。<おことわり>個人が特定できないよう編集のうえ掲載しております。あらかじめご了承ください。

 

【前編】

・私も、先生のご意見に「その通り!」と思うことが多々あります。緊急事態宣言中のTV報道はひどいものもありました。エビデンスもない、井戸端会議を公共電波に乗せるのは私としては水道管にオレンジジュースを流すくらい非常識だと思います。

・ポストコロナについては、チェンジではなくトランスフォームが起きています(中略)病魔に苦しんでおられる方に非常に申し訳ないのですが世の中は良い方向に向かうことができる岐路に立っていると思います。くだらない横並び主義がなくなり、「わたしはわたし」として多様なありかたが共存できる社会を目指したいと思います。

・学校教育においては、日本の横並び意識の負の側面が良く表れていると思います。オンライン化により、教え方が下手な教師が顕在化するなど、様々な不都合な真実が明らかになる(中略)今回のことがあってオンライン塾で十分必要な学力が得られることがわかり私としてはホッとしています。

・自由については安全VS自由という発想自体がナンセンスだと私は思います。香港の映像をみると、こんなことが本当に先進国であり得るのかと目を疑います。

 

【後編】

「全くそのとおりで楽しく読みました。現在の日本社会は子どもの教育も含め近視眼的な価値観に捉われてはいますが、私自身は本来の日本人の賢さも信じている」との主旨のご感想をいただきました。

 

一方、医療従事者を持つご家族の方からは、「同じ人間なのに職業によって何も求めず死の危険に向き合うのが当然というお考えなのか?松永先生が医療従事者本人、あるいはその家族であったとしてもそのように言えるのか?」との貴重なご意見もいただいております。

そこでご指摘の部分については少し言葉足らずなところがあったようなので、私の身内や親しい友人にも医者がいることをお伝えし、以下の説明を補足してお返事といたしました。

じつは、このご意見に関しては医療関係者とそのご家族でなくとも同様の感想を持たれた方もおられるのではないでしょうか。

補足説明を掲載しましたので、ご参考にしていただければと思います。

 

*補足説明

まずは、宗教的指導者や医療従事者の方々は、社会に奉仕するという志を持ち一流の教育を受けたエリートです。こういった方々はその高潔な志と社会にとっての重要性から、高い権威を持ち一般民衆から尊敬されています。皆から「先生」と呼ばれるのはこのためです。普通の人間であれば、お金をいくら積まれても今回のような役割(コロナ患者のために最前線で闘う)には就こうとしませんが、こうした方々はその高い志を持ってこのような職業に就きます。だからこそ権威があり、尊敬されているのではないでしょうか。私は、この「高潔さ」に、人目をひく行為やお金で報いようとする発想が、医療従事者に対してあまりにも失礼な仕打ちに思えます。

社会全体として、医療従事者を「たまたま医療という仕事を選んだ一般人」と考えてしまっており、現在では、この「高潔さ」がますます見えなくなっていると思われます。エリート教育やいわゆる「ノブレス・オブリージュ」といった考え方を大切にしてきた西欧社会でも、同じような現象は起きていますので、もちろん日本だけの問題というわけではありませんが…

「今日が最後かもしれないという気持ちで仕事に赴く家族を送り出している」と書いておられますように、医療従事者の皆さんとそのご家族の思いや覚悟を考えると、ろくな保証も医療環境も用意できないのに、ブルーインパルス飛行や5万~20万円を配る等の政府のやり方に嫌悪感と怒りに似た気持ちを覚えます。案の定、巷では支給される慰労金の支払い条件や金額を巡っての浅ましい話ばかりで、医師や看護師への敬意と感謝の気持ちははたしてどれほどのものなのでしょうか。やはり、「欧米社会における基本的な道徳観である、身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという考え方」は、無視すべきではないというのが今の私の考えです。

 

(「ノブレス・オブリージュ」は、当教室HPの掲示板<金魚すくい>のなかの「エリートとは」でも、日本人が理解しにくい考えとして紹介しております)

 

MEボックス代表 松永